イギリス系の外資系企業

イギリス系の外資系企業で働く

ここでは、イギリス系企業の特徴や魅力、デメリットなどについて詳しくご紹介していきます。イギリス系企業に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

イギリスのマーケット状況

イギリス

イギリスは、2011年現在の名目GDPで世界第7位、EUではドイツ、フランスに次ぐ第3位となる経済先進国の一つです。2010年までは名目GDPで6位を維持していましたが、2011年に初めてブラジルに追い抜かれました。

イギリスの首都ロンドンはニューヨークと並んで世界の金融システムの中心地でもあり、2009年のサブプライムローンでは多大な影響を受けました。長期的に見れば安定的な経済成長を続けているイギリスではありますが、日本と同様にプライマリーバランスが悪化しているなど、今後も当面は厳しい局面が続いていくと予想されています。

2012年のフォーチュン・グローバル500ではイギリス系企業が26社ランクインされており、世界第6位の多さとなっています。

イギリスは金融業、海運業、自動車、小売、サービスなどが主たる産業となっており、日本やドイツと比較すると製造業のウェイトの低さが特徴的です。

特に海外投資には積極的で、海外向け金融サービスが拡大しており、国際収支に大きな影響力を持っています。

イギリス系企業の特徴

イギリス系企業の主な特徴としては、下記が挙げられます。

  • 職務分掌が明確化されていない
  • 前例重視で、意思決定プロセスも慎重
  • 成果主義的な側面が強い

イギリス系企業の場合、アメリカ系企業とは異なりいわゆる職務記述書(Job Description)が明確に記述されておらず、職務分掌が曖昧なケースが多くあります。そのため、個人主義というよりはチームでの働き方を重視する側面も強く、日系企業に似た一面もあります。

また、イギリスは伝統的な慣習を重んじる文化もあり、前例や既存ルール、上層部が決定した政策などが存在していると物事は早く進みますが、新しいことや前例がない案件に関する意思決定スピードは早くありません。ここも日系企業と似た特色があります。

但し、評価という面ではプロセス以上に成果を重んじる傾向が強く、短期的な成果を重視するケースが多いようです。これはアメリカと同様、直接金融が非常に発達しているという企業のガバナンススタイルの影響もあると考えられます。

イギリス系の代表的な企業

日本において知名度が高いイギリス系企業としては下記が挙げられます。

金融業界

  • HSBCホールディングス
  • バークレイズ

家電・生活用品・携帯業界

  • ダイソン
  • ユニリーバ
  • ボータフォン

小売業界

  • テスコ

自動車業界

  • ベントレー

製薬業界

  • グラクソ・スミスクライン
  • アストラゼネカ

広告業界

  • WPPグループ

ファッション業界

  • バーバリー

コンサルティング業界

  • アーンスト・アンド・ヤング
  • プライスウォーターハウスクーパース

業界別に見るイギリス系企業

金融業界

イギリスの主力産業である金融業界を牽引しているのが、HSBCホールディングスです。
HSBCホールディングスは世界最大級の金融グループで、米フォーブス誌の2008年度世界有力企業番付では2000社中第1位を獲得しています。世界80ヶ国以上、10,000拠点以上を有し、従業員数30万人以上を誇る世界有数のグローバルメガバンクです。

また、バークレイズもイギリスを代表する国際金融グループで、日本では投資銀行部門にあたるバークレイズ・キャピタル証券株式会社を展開しており、外資系金融機関志願者の中でも大変人気が高い就職・転職先の一つとなっています。

家電・生活用品・携帯業界

イギリスの家電メーカーで、日本でも知名度が高い企業としては、ダイソンが挙げられます。ダイソンはサイクロン式掃除機を世界で初めて開発した会社で、今や掃除機と言えばダイソンというブランドを確立しています。

また、生活用品やトイレタリーなど一般消費財メーカーとしてP&G、ネスレに次いで世界第3位の規模を誇るユニリーバも、イギリス系企業です。

そして、携帯電話では、世界最大の多国籍携帯電話事業会社、Vodafone Group Plc(ボーダフォン・グループ)が日本でも有名です。日本ではジェイフォンを傘下におさめ、その後ソフトバンクが株式のほとんどを取得したことで現在ではボーダフォンというブランドは日本にはありませんが、ボーダフォン自体は現在でも世界26か国に子会社を持つ世界有数のグローバル企業です。

小売業界

イギリスの小売業界最大手と言えば、Tesco(テスコ)です。スーパーマーケット、コンビニエンスストアチェーンとして世界各国に展開しており、小売業としてはウォルマート、カルフールに次いで世界第3位の規模を誇っています。日本にも2003年に進出しましたが、2011年に撤退し、現在は「テスコジャパン」ではなく「イオンエブリ」となっています。

自動車業界

イギリスの代表的な自動車メーカーとしては、ベントレーが挙げられます。ベントレーは1998年以降ドイツのフォルクスワーゲングループの傘下となっていますが、高級車・スポーツカーメーカーとして世界中で根強い支持があるブランドです。

製薬業界

イギリスにおける製薬業界の代表的な企業としては、グラクソ・スミスクライン、アストラゼネカなどが挙げられます。

グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline K.K.)はイギリスに本社を置く世界第4位の製薬会社で、日本でも医療業界志願者の中で人気の転職先・就職先の一つとなっています。

また、アストラゼネカ(AstraZeneca plc)も製薬大手の一つで、日本では住友化学との合弁法人、アストラゼネカ株式会社を展開しています。

広告業界

広告業界では大変知名度が高いWPPグループも、イギリス系企業です。WPPグループはロンドンに本拠地を置き、世界107ヶ国に進出、グループ全体で14万人以上の従業員を擁する世界最大の広告代理店です。

傘下となるグループ企業にはオグルヴィ・アンド・メイザー・ワールドワイド、ヤング・アンド・ルビカム、JWT(ジェイ・ウォルター・トンプソン)、オグルヴィ・パブリックリレーションズ、バーソン・マーステラなど、広告・マーケティング業界の名だたる有名企業が含まれています。

日本ではADK(アサツー・ディ・ケイ)と資本提携しており、2009年時点でWPPがADKの筆頭株主となっています。

ファッション業界

ファッション業界はフランス系企業には及びませんが、イギリスではバーバリー(Burberry Group plc)などが世界を代表するファッションブランドとして知られています。

コンサルティング業界

イギリスのコンサルティング会社としては、世界150か国以上に16万人以上のスタッフを抱える世界最大級のプロフェッショナルファーム、プライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopers)や、アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young)などが有名です。

いずれの会社も世界4大会計事務所(Big4)の一角を占める大規模ファームで、就職先・転職先としても大変人気が高くなっています。

イギリス系企業で働くメリット

イギリス系企業で働くことで得られる代表的なメリットとしては、下記が挙げられます。

  • 有給休暇・長期休暇が取得しやすい
  • 男女関係なく昇進でき、女性管理職も多い
  • 成果次第で昇給・昇進がしやすい

イギリス系企業は、フランス系企業やドイツ系企業と同様に総じて休暇が取得しやすい傾向にあるようです。ワークライフバランスを重視する社風が多く、女性でも働きやすい環境が整っている企業がほとんどです。

また、男女の差も特にありませんので、女性管理職も多く、実力次第で誰でも昇進・昇格することが可能なのが一般的です。

福利厚生は日系企業ほど充実していないところもありますが、働きやすさという面ではそこまで不自由を感じるケースは少ないようです。

イギリス系企業で働くデメリット

イギリス系企業で働くことで得られる代表的なデメリットとしては、下記が挙げられます。

  • 短期間での退職も多い
  • 成果次第では、居づらいことも

イギリス系企業はアメリカ系企業と同様に成果主義的で、人材の流動性も比較的高い点が特徴です。そのため、優秀な人材であれば引き抜きによる同業他社への転職も多くありますし、その逆に一定期間で成果が出せない場合、退職に至らざるを得ないケースもあるようです。

特にイギリス系企業の日本法人は人気企業が多く優秀な人材が豊富に在籍していますので、成果を出すことに自信がない方にとっては厳しい環境だと言えそうです。

イギリス系企業で働くためには?

イギリス系企業の日本法人の求人は数多くありますので、業種・職種の経験がフィットすれば、転職の可能性は常に開かれています。

但し、イギリス系企業の日本法人は総じて給与水準も高く、ブランド力もあるので、採用市場に解いては常に倍率が高く、外資系企業経験者や日系グローバル企業の経験者などのハイレベルな人材が限られた採用枠を争うケースも多いので、転職のタイミングや個別の面接対策が重要となります。

イギリス系企業で求められる語学力

基本的にビジネスレベルの英語力は必須だと言えます。日本法人で顧客も日系企業の場合、業務では英語をほとんど使用しないケースもありますが、イギリス系企業のほとんどの求人では英語力が必須条件となっています。

イギリス系企業の年収レンジ

イギリス系企業の年収レンジは、日系企業と比べると高い傾向にあります。業種や企業によっても異なりますが、金融であれば20代前半で既に1,000万を超えている社員もいますし、その他の業種でも20代後半~30代前半で700万~1,200万程度の求人は数多く存在しています。

外資系企業ならではの高給は魅力の一つです。ただし、福利厚生面では日系企業に劣ることもありますので、年収の額面だけではなくトータルで考えるのがよいでしょう。

イギリス系企業はこんな方におすすめ

下記に当てはまる方は、イギリス系企業への転職がおすすめです。

  • キャリアウーマンとしてステップアップしたい女性の方
  • 成果主義的な風土で高給を目指して頑張りたい方
  • ワークライフバランスを保ちたい方

イギリス系企業はヨーロッパ系外資ならではの休暇取得のしやすさや女性の働きやすさなどが魅力です。加えて、成果主義的な人事制度を取り入れている企業が多く、ベース自体も高給ですが、実力次第では更なる年収のアップも望めます。

イギリス系企業に強い転職エージェント

イギリス系企業に強い転職エージェントとしては、下記が挙げられます。

イギリス系企業の日本法人における求人は、ほとんどが非公開求人となっています。職種としては、消費財メーカーのマーケティング関連求人や営業関連求人、金融スペシャリスト求人、会計コンサルタント求人などが豊富に存在しています。

ただ、いずれも人気があり競争倍率が高い求人が多いため、入社を勝ち取るためには事前の徹底した対策が必要となります。英文レジュメや英語インタビュー対策など、転職エージェントのコンサルタントを活用してしっかりと準備をすることが重要です。

リクルートエージェントは非公開求人数が網羅されているので、ぜひとも登録しておきたいところです。アデコもスイスに本社を置く世界最大の総合人材会社として多数の外資系求人を保有しており、おすすめです。また、JAC Recruitmentは、外資系企業に特化したコンサルタントの質が非常に高い点が魅力です。まずは上記3社全てに登録してみて、転職活動を進めながらメインの転職エージェントを絞り込んでいく、という形が良いでしょう。ぜひ有効に活用してみてください。

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