外資系金融業界の求人
ここでは、外資系金融業界への転職をお考えの方に向けて、外資金融業界の特徴やメリット・デメリット・代表的な職種、企業などについてご紹介していきます。興味をお持ちの方はぜひ参考にしてください。
外資系金融業界の転職市場動向
外資系金融機関の転職市場における求人数は、リーマンショックを機に激減しました。リーマンショック後も、低迷し続ける日本経済を見限り、証券会社を中心に日本市場を撤退する金融機関は数多くありました。
しかし、昨今の景気回復の兆しを受けて、即戦力採用を中心にようやく外資系金融機関も採用に積極的な動きを見せ始めるようになっています。
特に、景気回復の兆しによって日系金融機関の採用意欲が大きく回復し、第二新卒など若手層からスペシャリスト層に至るまで複数名採用をする金融機関が増え始めたことで、転職市場で外資系金融機関と競合するケースも多くなり、結果として人材を確保したい外資系金融機関がこれまでよりも少し採用ハードルを下げて求人活動を展開するケースが出始めています。
かつては超高給のイメージが強かった外資系金融機関も今ではリーマンショック以前の水準と比べるとだいぶ落ち着いてしまいましたが、最近は再び高額なオファーを武器に優秀な人材確保に向けて動いています。
日系の金融業界や総合商社、外資系コンサルティングファームなどで経験を積んできた方にとっては、今こそ外資系金融機関への転職のチャンスと言えるかもしれません。業種ごとの主な特徴は下記となります。
外資系証券会社の転職市場動向
外資系の証券会社は現状まだ新規採用に消極的な企業が多く、欠員による即戦力補充などが求人の中心なので、該当職種におけるスペシャリティを持っていたとしても、転職エージェントをフルに活用して常に求人情報をウォッチしていなければ、なかなか良い求人を見つけることは難しいでしょう。
外資系銀行の転職市場動向
外資系の銀行では、アジアを中心とした新興国の経済成長を背景として特にアジア系の銀行が採用活動を活発化させており、今後もその傾向は続くと考えられます。職種としてはキャッシュマネージネント・オペレーション、トレードファイナンスなどの需要があります。
外資系アドバイザリー・PEファンドの転職市場動向
最近ではM&AアドバイザリーやPE(プライベート・エクイティ)ファンドなども組織強化に向けて採用活動を活発化させる動きが高まっており、ソーシング、エグゼキューション、バリューアップなどの求人が増加しています。
アドバイザリーでは、昨今日本企業が積極的な海外進出を進めており、それに伴い大型の海外M&A案件が増えてきていることから、アドバイザリー会社は事業規模を拡大し、組織強化を急ぐ会社が増えてきており、採用活動も活発化しています。
外資系金融業界の特徴
外資系金融業界の主な特徴としては、下記が挙げられます。
- グローバル経済における日本市場のポジションに採用が左右される
- 採用はクローズド・オファー(非公開求人)が中心
- 人材の流動性は非常に高い
グローバル経済における日本市場のポジションに採用が左右される
外資系金融業界の採用状況は、何より日本経済の状況、日本のグローバル市場におけるプレゼンスに大きく影響しています。もともと証券や投資信託、投資顧問といった外資系金融業界は、1998年の日本版ビッグバン以降1400兆円とも言われる日本の個人資産に目をつけ日本市場にこぞって進出し、深く根を下ろしてきました。
しかし、2000年代にはITバブルの崩壊などもきっかけに日本の経済状況の低迷が続いて日本の証券市場が魅力を失う中、多くの外資系金融機関は個人部門を縮小・撤退し、2000年代後半には機関投資家向けの金融サービスやM&A、投資銀行業務、コンサルティング、企業再生などに力を入れるようになってきました。
そして、2009年にはリーマンショックにより欧米経済・日本経済も深刻な打撃を受け、大手金融機関の破綻を始め、日本市場からの撤退・業務大幅縮小が相次いだのです。
2013年以降、日本経済もようやく回復の兆しを見せ始め、即戦力や一部のハイスペック若手採用に限り転職市場も元気を取り戻しつつありますが、この状況がいつまで続くかは誰にも分かりません。
2000年代の前半とは違い、昨今のASEANやBRICSなど新興国諸国の台頭はグローバルマネーの流れを大きく変えており、アジア・パシフィックのヘッドクウォーターを日本からシンガポールへと移す動きも数多く見られます。
日本もGDPで見ればアメリカ、中国に次いで世界第3位の経済大国であり、外資系金融機関にとっても重要な拠点であることには間違いないのですが、一方で国家財政の大幅赤字、高齢化の進行による内需の減少など長期的な視点では決して好材料ばかりではありません。
東南アジア諸国、BRIC諸国が経済成長し、新興国投資のフェーズから内需拡大のフェーズに入る頃には、外資系金融機関の興味は日本からこれらの国々へと移っているかもしれません。
グローバル金融機関は、常にリスクとチャンスのバランスを取りながら、最も大きな利ざやを稼ぐことができる場所に集中的に資本を注ぎ込んでいきます。グローバル経済の動向と、その中での日本市場のプレゼンスによって、外資系金融機関の日本市場への注力度は大きく変わることが予想され、それによりヘッドカウントや報酬、採用意欲も大きく変化するという点は意識しておいたほうがよいでしょう。
採用はクローズド・オファー(非公開求人)が中心
また、外資系金融機関の採用活動という点にフォーカスすると、多くの場合はクローズド・オファー(非公開求人)形式で、かねてより親しい転職エージェントやサーチファームを通じて水面下で採用活動を展開するケースが多い、という特徴があります。
現在も、外資系金融機関の求人のほぼすべてが即戦力採用であり、仮に若手採用だとしても外資系金融機関・日系大手金融機関・外資系コンサルティングファーム、総合商社出身限定など、一部のハイスペック層に限定した採用がメインとなっているため、あまねく広く募集するというよりも、欠員に応じてスポット採用をしていくというスタイルが主流なのです。
そのため、外資系金融機関への転職を考える場合、転職エージェントに登録をしておき、欠員に伴う求人発生など、常に最新の求人情報を受け取れる体制をとっておくことがおすすめです。
人材の流動性は非常に高い
外資系金融業界は、人材の流動性が非常に高いという点も特徴的です。専門性が高いスペシャリスト業務がほとんどなのでスイッチがしやすいと言う点もありますし、金融機関にとって最大の付加価値は人材なので、優秀な人材の獲得のためには高額なオファーを提示して引き抜きも厭わないという業界独特の慣習も影響しています。
もちろん、そうしたポジティブな流動だけではなく、外資系金融の場合には成果が伴わなければ解雇することも日常茶飯事ですし、景況やビジネス環境の変化に応じて事業部門の縮小や撤退、統合なども頻繁に行われるため、それに伴う転職なども多くあります。
このように外資系金融業界では頻繁に人の入れ替わりが起こるため、社内では業務引き継ぎやフォロー体制などが徹底されており、個人主義的なイメージが強い外資系金融機関だが実は非常にチームワークを重視する傾向が強い、という意見もあります。
外資系金融業界の魅力
外資系金融機関で働く主な魅力としては、下記が挙げられます。
- 報酬が非常に高い
- 優秀な同僚と切磋琢磨し合える
- 個人の裁量権が大きくやりがいがある
報酬が非常に高い
外資系金融機関の一番の魅力は、やはり何と言っても報酬の高さでしょう。現在ではリーマンショック以前の水準ほどではなくなってしまいましたが、それでも他の業界と比較すると総じて報酬は高いと言えます。
しかし、雇用リスクの高さやハードワーク、徹底的な実力主義などを考慮すれば、報酬面だけを動機として転職を考えるのは避けたほうが良いでしょう。
優秀な同僚と切磋琢磨し合える
また、外資系金融機関はかつてほどではないにせよ依然として新卒・中途採用市場共に非常に人気が高い就職・転職先であり、熾烈な入社競争が繰り広げられています。そのため、必然的にグローバル市場の中でも優秀な人材が集まることとなり、それらの仲間と切磋琢磨し合えると言う点では非常に魅力的な職場だと言えます。
個人の裁量権が大きくやりがいがある
そして、外資系金融機関は新入社員でもどんどん仕事を任せる傾向が強く、与えられる裁量権も大きいので、そうした面にやりがいを感じる方も多いようです。
最先端のファイナンス知識や金融工学を学ぶことができ、優秀な同僚ともに緊張感の高い職場で切磋琢磨し合える。そして、成果さえ出せば高額な報酬も得ることができる。
こうした外資系金融機関ならではの職場環境はとても大きな魅力だと言えます。
外資系金融業界のデメリット
次に、外資系金融業界で働くことのデメリットについてもご紹介していきます。ぜひ良い面だけではなく悪い面もしっかりと理解した上で転職するかどうかを検討しましょう。
- ハードワークの常態化
- 雇用リスクは非常に高い
- 転職時のつぶしが利かないことも
ハードワークの常態化
外資系金融機関は良くハードワークだと言われますが、これは本当です。もちろん業種や職種、企業によっても差はありますが、総じて金融機関の労働時間は長い傾向があります。
グローバルで考えれば24時間常に世界のどこかのマーケットは開いているわけですから、金融機関が忙しいというのはある意味当たり前のことなのですが、その中でも外資系金融のハードワークは飛びぬけています。知的ハードワークはもちろんですが、体力的にも自信がある方でなければ長く働くのは難しいでしょう。
もちろん、金融機関の中でもバックオフィスであればフロント部門より遥かに労働時間は短くなりますが、その分給与面では格差がありますし、外資系金融機関への転職を目指される方の多くはフロントの仕事に興味を持っていると思いますので、ハードワークは覚悟しておいたほうがよいでしょう。
雇用リスクは非常に高い
また、外資系金融機関は景況感の変化により部門の縮小・撤退なども頻繁に行いますので、会社業績だけではなく世界経済全体の動向など、本人の能力や成果とは関係ない理由でリストラされるケースも良くあります。
もちろん、仕事は成果主義・実力主義が徹底されていますので、高いオファーで入社をしたとしても成果が出せなければすぐに解雇されてしまうこともあります。
そのため、外資系金融機関で働く方々は、いくら高額な報酬を得ていても将来のリスクを考えて報酬の大部分を貯蓄に回して資産形成をしている方も非常に多くいます。
転職時のつぶしが利かないことも
そして、職種や所属部門によっては、万が一外資系金融業界から転職しようと思っても、つぶしが利かないことも良くあります。
例えば証券会社であれば、IBD(投資銀行部門)で企業を顧客に資金調達やM&Aアドバイザリーを経験してきた方であればまだ転職の選択肢は多いのですが、マーケット側(セールス&トレーディング)で経験を積んできた方は、転職の選択肢も限られがちです。
マーケット側であれば若くして莫大な報酬を稼ぐことも可能ですが、マーケットの場合、企業の見方が事業会社やコンサルティング会社などとは異なり、金融商品として俯瞰して見るのが仕事であり、IBDよりビジネスモデルや事業に近い視点で企業を分析する経験が少ない分、その後のキャリアとしては同様の金融機関のマーケット部門やヘッジファンドなどに限定されがちなのです。
そして、金融業界に長く携わり30代後半ともなってくると、キャリアにおける金融色がより強くなり、事業会社やコンサルティング会社などからも敬遠されるようになります。
ずっと金融業界を渡り歩いていきたいと言う方や、早く稼ぎきって40代でアーリーリタイアしたいと言う方であれば別ですが、最終的には専門性を活かして事業会社の立場に立って仕事がしたいという方などは、20代後半~30代前半のうちにキャリアの路線変更を取っておいたほうが良いでしょう。
代表的な職種
外資系金融業界における代表的な職種としては、下記が挙げられます。
一部の職種やバックオフィスの仕事を除いて、金融機関の仕事は非常に専門性が高いため、基本的には同業界内で同職種を経験してきた方でなければ中途採用でポジションを得るのは難しいでしょう。
ただ、逆に職務経験さえあれば転職しやすいのもこの業界の特徴ではあるため、新しく金融業界への転職を目指される若手の方などは、まずは一度日系金融機関に転職して、金融専門職としての知識・経験を身に付けた上で外資系金融機関に転職するというのがおすすめです。
代表的な企業
金融業界における代表的な外資系企業は数を挙げるときりがありませんが、その中でも特に人気が高い企業を中心にご紹介します。
特に人気が高いのはJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、モルガンスタンレーといったアメリカ系の投資銀行ですが、クレディ・スイス、ドイツ銀行、BNPパリバなど欧州系金融機関も根強い人気があります。
上記のような企業は外資系金融業界の中でもごく一握りの人材しか入社することができない超人気企業であり、必然的に競争倍率も非常に高くなっています。
こんな方におすすめ
下記にあてはまる方は、外資系金融業界で働くのがおすすめです。
- リスクを覚悟で高額な報酬を目指したい
- 知的・体力的ハードワーキングに自信がある
- 最先端の金融工学・テクノロジーを学びたい
- 優秀な人材と緊張感のある環境で切磋琢磨したい
外資系金融機関は、高額な報酬、トップレベルの優秀な人材が集まる、最先端の金融知識が得られるなど非常に魅力的な環境がある一方で、ハードワーク、リスクが高い、将来的なキャリアプランを持っていないと40代以降にキャリアの可能性が狭くなるなど、慎重に検討するべき側面もあります。
いずれにせよ、業界経験者でなければ採用の門戸は非常に限られており、業界経験者の中でも外資系金融で働けるのはごく一部の人材に限られますので、外資系金融機関への転職を目指す方は若いうちから明確な目的意識を持ってキャリアプランを作っておくことをおすすめします。
外資系金融機関への転職を成功させるポイント
外資系金融機関への転職を成功させる上で意識しておきたい主なポイントは下記となります。
- 基本的に業界経験者のみの即戦力採用
- 実務の専門性、語学力の高さは必須
- 将来的なキャリアのゴールを定めておく
外資系金融機関は日本に限らず欧米のビジネススクール卒業生の間でも依然として人気が高い就職先で、競争倍率が高いことは言うまでもありません。
基本的には日系大手金融機関や外資系金融機関で勤務経験がある方が業界内で動くことがほとんどであり、未経験者への門戸は非常に限られています。
業界未経験の場合、第二新卒時に日系の金融機関に転職して業界内で一定の経験を積む、海外トップスクールでMBAを取得するなど、早期にキャリアプランを構築した上で動き出す必要があります。
また、外資系金融業界へ転職する場合、40代、50代といった長期に渡るキャリアプランもしっかりと考えておく必要があります。雇用の安定性も低くリスクも高い上、金融専門職スペシャリストとして経験を積み年齢を重ねれば重ねるほど、いざ事業会社側に移りたいと思っても選択肢は限られてしまいます。
そのため、自分の長いキャリアにおいて、外資系金融機関での仕事をどのように位置づけるのか、ということに対して予め明確な答えを持っておくとよいでしょう。
そして、当然ながら高い語学力が求められますので現在は日系金融機関に勤務しており、日常的に英語を業務で使用する機会がない方は、少なくともTOEICスコアで900点以上はとっておくようにしましょう。
外資系金融機関に強い転職エージェント
外資系金融機関の多くは、転職エージェントを活用して採用活動を展開しています。特に人気企業ともなれば非常に数多くの応募が集まってしまい採用効率が落ちるので、非公開求人として採用ルートを転職エージェントだけに限定して活動していることがほとんどです。
そのため、外資系金融機関への転職を目指す方は、外資系企業に強い転職エージェントに登録するのが一番です。特におすすめできる企業は、下記の3社です。
いずれの企業も外資系金融機関の日本進出時から採用支援をしていることも多く、大手金融機関から新興のPEファンドまで強いパイプを持っています。
上記3社では業界事情に精通した金融業界専門のコンサルタントが在籍しているので、安心して相談することができます。外資系金融機関の中途採用求人はそもそも数が少なく、欠員補充のクローズ募集などがほとんどなので、ぜひ転職エージェントに登録して、最新の求人情報が入り次第すぐにアプローチできる体制を整えておくことをおすすめします。