リファレンス

リファレンス

外資系企業においては、選考の最終段階で「リファレンス」と呼ばれる最終チェックが入ることがあります。リファレンスは外資系企業に特有のものですので、特にはじめて外資系企業への転職を考えている方は、ぜひ参考にして下さい。

リファレンスとは?

リファレンスとは、企業が選考の最終段階になって、候補者の前職の上司や同僚などに対して候補者の前職時代の働きぶりなどを確認し、本当にその候補者を採用しても大丈夫なのかを念のため確認するために行うチェックのことを指します。

日系企業ではリファレンスが行われることはあまりありませんが、外資系企業では一般的に行われていることであり、決して珍しくありません。

特に、外資系の金融機関などは厳しくリファレンスを行う傾向が強く、また、金融機関以外でも、マネジャー職以上のポジションの場合、正式に採用を決定する前にリファレンスを実施することが多いようです。

リファレンスの対象

企業がリファレンスを実施する場合は、候補者の普段の仕事ぶりや素性、プライベートについても良く知っている人物を対象にするケースがほとんどで、具体的には前職時代の上司や同僚、部下、人事部などが対象となります。

やはり最も多いのは上司のようですので、外資系企業への転職を考えている場合、普段から上司との人間関係は良好に保っておいたほうが無難でしょう。

リファレンスを依頼される人数

リファレンスを依頼される人数としては、2名~3名以上となるケースが一般的です。1名のみの調査だと情報の信頼性と正確性に欠くため、ほとんどの外資系企業は複数の人物に対してリファレンスを実施します。

そのため、上司や同僚など、少なくとも2名以上はリファレンスの依頼に応じてくれそうな人物がすぐに思い浮かぶ状態にしておくのが良いでしょう。

リファレンスの方法

外資系企業がリファレンスを実施する際の方法としては、主に下記のような方法があります。

  1. 候補者に、対象者からの推薦状を提出させる
  2. 候補者にリファレンス対象を指定させ、企業が対象者へ直接連絡をする
  3. 転職エージェントがリファレンス対象者へ連絡をし、企業に報告する
  4. 企業が外部の信用調査機関などを利用して実施する

それぞれのケースについて説明していきます。

1、候補者に、対象者からの推薦状を提出させる

リファレンスの中でも一番ソフトな方法は、候補者自身が上司や同僚などに依頼して自分の推薦状を書いてもらい、企業に提出するという方法です。

この場合、推薦状を書いてもらえそうな上司・同僚さえいれば、その内容については事前に自分でもチェックすることができるので、安心して企業に提出することができます。

2、候補者にリファレンス対象を指定させ、企業が対象者へ直接連絡をする

比較的多いのが、このパターンです。選考の最終段階になると、例えば企業側から「リファレンスを実施するので、前職の上司ないし同僚で3名、連絡が可能な人物の連絡先と、連絡が行く旨の許可を取ってほしい」などと依頼されます。

そして、こちらが指定した人物およびその連絡先を企業に提出すると、企業は直接リファレンスを実施します。この場合、企業からはメールで連絡が行く場合もあれば、電話が行く場合もあります。

いずれにせよ、どのようなやりとりがされるかについてまでは分かりませんので、本当に信頼できる人物をリファレンス対象として指定することをおすすめします。

3、転職エージェントがリファレンス対象者へ連絡をし、企業に報告する

また、ケースによっては、企業の代わりに転職エージェントがリファレンスを代行することもあります。この場合は、転職エージェントの担当者があなたの前職の上司などに連絡をし、その結果を企業に報告する形となります。

4、企業が外部の信用調査機関などを利用して実施する

一部の金融機関や、役員クラスのポジションともなると、企業が独自に外部の信用調査機関を利用して、前職での働きぶりだけではなく、身辺の調査も含めて実施することがあります。

家柄などを採用可否の判断材料とするのは差別にあたり、違法性が出てくるため、こうした調査は表だって行われることはありません。しかし、企業も採用ポジションが要職であればあるほど、万が一のケースを想定してこうした調査を実施しているのが現状です。

リファレンスで聞かれる内容

リファレンスでは、対象者に対してどのような質問がされるのでしょうか?ここでは、その一例を示したいと思います。

  • 前職時代の勤務態度
  • 大きなトラブルなどを抱えていなかったか
  • 長所・短所
  • 信頼できる人物か
  • また一緒に働きたいと思う人物か

リファレンスはあくまで採用の最終段階に行う念のためのチェックですので、面接のように細かい項目を根掘り葉掘り聞かれることはあまりありません。

企業は、本人の職務経歴書や、面接時に話していた内容に偽りがないかどうかといった点や、面接時に感じた印象と前職の職場での印象にあまりにギャップがないかどうかなどを確認したいだけで、リファレンスを理由として選考に落ちるということはほとんどありませんので、そこまで心配する必要はありません。

しかし、どうしてもリファレンスが気になるようであれば、信用に足る人物に依頼することはもちろんですが、その内容についても「このように話してほしい」と希望を伝えておくと良いでしょう。

リファレンスを依頼できる人物がいない場合

中には、何らかの事情で前職の上司や同僚にはリファレンスを依頼できないという方もいるでしょう。企業からは3名以上のリファレンス許可を依頼されているものの、対象者が1人しか見つからない、というケースなども良くあります。

また、リファレンスに関して大変よくある悩みの一つが、現職の上司や同僚には秘密裏に転職活動を進めており、リファレンスを要求されるケースです。

この場合、当然ながら現職の関係者にはリファレンスを依頼することができませんし、採用が確定しているのであれば転職活動の事実を打ち明けた上でお願いすることもできるかもしれません。

しかし、ほとんどの場合リファレンスは最終段階、口頭でのオファー段階で実施されるので、もし万が一リファレンスの結果、正式内定が見送られるということになると、現職には転職活動をしていることが判明した上、転職先は見つからないという最悪の事態になってしまうことも想定されるのです。

こうした要素があるため、リファレンスの実施には労働者保護に関するセンシティブな問題が絡むケースが多く、場合によっては裁判沙汰となることもあるほどです。

上記のような事情でどうしてもリファレンスが実施できない場合、一人で悩まずに、まずは転職エージェントに相談してください。事情を説明すれば、場合によってはリファレンスがなくなることもありますし、前職時代の上司、同僚が難しければ、顧客や取引先など、対象を広げてもらえることもあります。

リファレンスは外資系企業特有のチェック方法でもありますので、初めて外資系企業への転職をお考えの方は、転職活動の最後にリファレンスが実施される可能性があるということも十分に認識した上で、たとえ現状に不満があったとしても上司や同僚との関係性だけは日頃から良好に保っておくことをおすすめします。

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