フランス系の外資系企業で働く
ここでは、フランス系企業の特徴や魅力、デメリットなどについて詳しくご紹介していきます。フランス系企業に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
フランスのマーケット状況
フランスは、2011年現在の名目GDPでアメリカ、中国、日本、ドイツに次ぐ世界第5位を誇り、EUではドイツに次ぐ第2位の経済大国となっています。
日本ではフランスと言えばアパレル・ファッション業界のイメージが強い方も多いと思いますが、実際には通信衛星、造船、医薬品、化学、自動車など幅広い分野で世界をリードするEUの先進国の一つです。
2012年のフォーチュン・グローバル500ではフランス系企業が32社ランクインされており、ドイツと並び第4位の多さとなっています。日本では有名なブランドであるにも関わらず、フランス資本だとはあまり知られていない会社も数多く存在しています。
また、農業も盛んで、EU最大の農業生産国でもあり、加工品の輸出も盛んです。ワイン・チーズなどはフランスを代表する輸出品目となっています。
フランス系企業の特徴
フランス系企業の主な特徴としては、下記が挙げられます。
- ワークライフバランスを重視している
- 男女平等が徹底されており、フラットな組織
- ブランド・マーケティング戦略がしっかりしている
フランス系企業の一番の特徴は、ワークライフバランスを重視した働き方です。ヨーロッパ外資系企業には共通して言えることでもありますが、その中でも特にフランスは有給休暇の取得日数・率も世界トップで、残業もあまりしないのが基本スタイルとなっています。
また、人権意識が強いヨーロッパ外資ならではの特長として男女平等も設定されており、社内のキャリア形成において女性だというだけで不利になることはまずありません。むしろ、コスメや化粧品、アパレル、雑貨など女性をメインターゲットとしたフランス系消費財メーカーでは、CEOからマーケティングのトップまで全てが女性、という企業も珍しくありません。
そして、フランス系企業はグローバル展開におけるブランド戦略・マーケティング戦略に長けている企業が多く、ブランド好感度を高めることでハイエンド層に対して高付加価値なビジネスを展開している企業が数多く存在しています。
フランス系の代表的な企業
日本において知名度が高いフランス系企業としては下記が挙げられます。
金融・保険業界
- アクサ(AXA)
- BNPパリバ
製薬業界
- サノフィ
自動車業界
- ルノー
- PSA・プジョーシトロエン
- ミシュラン
食料品業界
- ダノン
アパレル・ファッション業界
- LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン
- イヴ・サン・ローラン
- S.T.デュポン
- エルメス
- カルティエ
- シャネル
- ロレアル
- ロクシタン
- プチ・バトー
業界別に見るフランス系企業
金融・保険業界
金融・保険業界で有名なフランス系企業としてはアクサ(AXA)が挙げられます。従業員数11万名以上を抱えるグローバル金融・保険グループで、日本にも1994年に進出し、テレビCMなどで親しまれています。
また、BNPパリバはパリに本拠地を置く世界有数の金融グループの一つで、ユーロ圏最大の規模を誇ります。外資系金融機関の転職先としても非常に人気がある企業の一つです。
製薬業界
製薬業界で有名なフランス系企業としてはサノフィが挙げられます。サノフィはパリに本拠地を置く製薬・バイオテクノロジー企業として、医薬品の販売では世界第4位の規模を誇っています。日本法人もサノフィ株式会社として東京に拠点を置いています。
自動車業界
自動車業界におけるフランス系企業の代名詞と言えば、やはりルノーでしょう。ルノーはヨーロッパ最大の自動車会社でもあり、韓国のルノーサムスン自動車や、日本の日産自動車も事実上の傘下に収めています。ルノー傘下のグループも含めた2011年の新車販売台数ではGM、フォルクスワーゲンに次いで世界第3位の規模となっており、トヨタグループを上回る規模となります。
また、ルノーと並んでフランス自動車産業の二大巨頭となっているのがPSA・プジョーシトロエンです。
そして、2005年にブリジストンに抜かれるまでは世界最大手のタイヤメーカーだったミシュランも、代表的な企業の一つです。日本ではミシュランと言うと同社が発行している「三ツ星評価」の旅行ガイドブックを頭に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
世界各国の営業地域においてもっとも適したブランドを採用するマルチブランド戦略を用いることで、現在では世界最大級のタイヤメーカーへと成長しています。
食料品業界
食料品業界で有名なフランス系企業としては、ダノンが挙げられます。ダノンはヨーグルトやミネラルウォーターの「Evian(エビアン)」などで有名な企業で、2004年の売上高は137億ユーロに及ぶ、グローバル食料品メーカーです。
日本では味の素やカルピス、キリンビバレッジなど複数の食品・飲料メーカーなどと提携して合弁日本法人を設立し、自社製品の販売を行っているほか、ヤクルトの筆頭株主にもなっています。
アパレル・ファッション業界
アパレル・ファッション業界におけるフランス系外資企業としては、数えきれないほど多くの有名ブランドが存在しています。
1987年にルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーが合併して誕生したLVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンS.A.(LVMH Moët Hennessy ‐ Louis Vuitton S.A.)はフランスを本拠地とする巨大コングロマリットです。
傘下ブランドには、ファッションでは「Louis Vuitton (ルイ・ヴィトン)」、「FENDI (フェンディ)」、化粧品・香水では「Dior / Parfums Christian Dior (ディオール/パルファン・クリスチャン・ディオール)」「BVLGARI(ブルガリ)」、ワインスピリッツとしては「Dom Pérignon (ドン・ペリニヨン)」「Moet & Chandon (モエ・エ・シャンドン)」など、日本でも非常に知名度が高い名だたるブランドが並びます。
他にもフランスのアパレル・ファッション業界には、イブ・サン・ローラン、エルメス、カルティエ、シャネルなどの高級ブランドが数多く存在し、化粧品業界ではロレアル、最近ではロクシタンなども売り上げを急速に拡大しています。
各社は緻密なブランド戦略・マーケティング戦略により日本を始め世界各国で数多くのロイヤルカスタマーを抱えており、フランスが誇る一大グローバル産業となっています。
フランス系企業で働くメリット
フランス系企業で働くことで得られる代表的なメリットとしては、下記が挙げられます。
- 有給休暇が取得しやすい
- 男女関係なくキャリアアップできる
- 本国フランスで働けるチャンスもある
- 従業員に優しく、研修体制なども充実している
フランス系企業の何よりの魅力は、ワークライフバランスを重視したガバナンススタイルで、有給休暇が取得しやすい、残業時間が少ないなど、働きやすい環境が整っていることです。また、男女関係なくキャリア形成ができるので、まさに働く女性にとってはうってつけの環境だと言えます。
日本法人であっても、マーケティングマネジャーやプロダクトマネジャーなどバックオフィス業務であればレポートラインは本国となるため、フランス本社とのやり取りはもちろん、グローバルカンファレンスへの参加や、フランス本社で働けるチャンスが生まれることもあります。
フランス系企業で働くデメリット
フランス系企業で働くことで得られる代表的なデメリットとしては、下記が挙げられます。
- 成果主義の側面が強い
- ビジネス展開は本国次第
フランス系企業は一般的に有給の取りやすさなど「働きやすい」というイメージが強いのですが、一方で仕事の成果に対しては厳しい側面もあり、実力主義的な風土の企業が多い点が挙げられます。常に目標が管理され、目標の達成にむけて厳しくマネジメントラインが引かれているケースも多いので、こうした成果主義的な風土が合わない方だと、デメリットに感じることがあるかもしれません。
また、フランス系企業の日本法人で働く場合、基本的にはマーケティング・セールス・店舗展開含めて本国の指示が非常に重要な意味を持ちます。HRについても最終意思決定は本国が持っているケースも多く、自社ブランドを非常に強く意識しているフランス系企業ならではのマネジメントスタイルとも言えます。
フランス系企業で働くためには?
フランス系企業の日本法人の求人は意外にも数多く存在しています。アパレル・ファッションブランドの求人は店舗・販売系の求人からマーケティング・営業・管理部門の求人まで数多く存在しています。
日系の化粧品メーカーやアパレルメーカーからフランス系企業へ転職される方も数多くいます。マーケティング、プロダクト、セールスなどアピールできる経験があれば、幅広い職種で十分に転職のチャンスはあります。
フランス系企業で求められる語学力
フランス系企業の場合、多くは英語力が必須となっています。英語が社内公用語となっているケースも多く、少なくともバックオフィスにおいてはビジネスレベルの英語が求められます。フランス語が話せる場合は、更にアピールポイントとなるでしょう。
また、アパレル・ファッションにおける店舗スタッフ・販売員などの求人の場合、英語力は求められません。
フランス系企業の年収レンジ
フランス系企業の年収レンジは、外資ならではの高い給与水準を誇っている企業が多い傾向にあります。リーダー・マネジメントクラスのポジションであれば、20代後半~30代前半でも800万~1200万程度の年収レンジの求人は決して珍しくありません。
フランス系企業はこんな方におすすめ
下記に当てはまる方は、フランス系企業への転職がおすすめです。
- マネジメントポジションを目指して働きたい女性の方
- ワークライフバランスを重視した働き方がしたい方
- 成果主義の組織で働きたいという方
フランス系企業は、なんといっても女性の方におすすめです。男女平等で風通しの良い職場環境はもちろん、既に活躍している女性が多いため、社内でキャリアのロールモデルも見つけやすいでしょう。
また、有給も取得しやすい、産休後も復帰しやすいなど、ワークライフバランスを重視した人事システムは、女性が長く働く上で大変重要なポイントです。
成果を求められる環境でも臆せず働くことができる方にとっては大変魅力的な職場だと言えます。
フランス系企業に強い転職エージェント
フランス系企業に強い転職エージェントとしては、下記が挙げられます。
フランス系企業の日本法人における求人は、ほとんどが非公開求人となっています。特に、消費財メーカーにおけるマーケティング、アカウンティング、HRなどのバックオフィスポジションはどの企業も人材不足に悩まされており、獲得競争も激しくなっているため、日系企業でしか勤務経験がない方でも英語力があれば、強い引き合いがあります。
リクルートエージェントは非公開求人数が網羅されているので、ぜひとも登録しておきたいところです。アデコは、スイスに本社を置く外資系転職エージェントですので、フランスを含むヨーロッパ系企業の求人には特に強みを持っています。また、JAC Recruitmentは、外資系企業に特化したコンサルタントの質が非常に高く、おすすめです。まずは上記の3社に登録してみて、転職活動を進めながら徐々にメインの転職エージェントを絞り込んでいくのが良いでしょう。ぜひ相談してみてください。