ジョブ・ディスクリプション
ジョブ・ディスクリプションとは、職務の内容を詳細に記述した文書のことを指し、各社員の職務内容、範囲を明確化するために作成されています。
各社員の職務の成果を正確に測定するためにはこのジョブ・ディスクリプションが必要不可欠であり、成果主義的な人事システムとセットになっています。
アメリカ系企業やヨーロッパ系企業の多くではジョプ・ディスクリプションを用いて社員の職務管理、人事評価を行っているため、外資系企業が求人活動を展開する際には、基本的に採用したいポジションのジョブ・ディスクリプションの中から開示できる情報だけを抜粋して求人情報として公開し、応募者を募集する形が一般的となります。
ジョブ・ディスクリプションは「人」ではなく「ポジション」に紐づく
ジョブ・ディスクリプションは、社員一人一人ではなく、ポジションに紐づいた文書です。そのため、例えば同じアシスタントマネジャー職として採用された異なる社員が、違うジョブ・ディスクリプションを渡されるということはありません。
これは、職務給制度が一般的である外資系企業ならではの仕組みですので、職能給が一般的な日系企業の感覚からすると新鮮な考え方です。
日系企業の場合には、評価が人に紐づく形が一般的ですので、同じ職位だとしても人によって仕事内容が違ったり、給料が違ったりするのは日常茶飯事ですが、職務給制度を導入している外資系企業ではそのようなことはありません。
ジョブ・ディスクリプションの記載内容
ジョブ・ディスクリプションには、主に下記のような内容が記載されています。
- 職務の責任・権限の範囲
- 職務内容
- 求められる成果
- 職務の遂行に必要な知識・経験・スキルなど
- マネジメント人数
- 予算権限
ジョブ・ディスクリプションに記載されている内容以外の仕事はいくら頑張っても評価の対象となりません。定められた職務の中で最大限の成果を上げることがミッションとなります。
ジョブ・ディスクリプションのメリット
ジョブ・ディスクリプションにより人事管理をすることの代表的なメリットとしては、下記が挙げられます。
- 労働生産性が向上する
- 客観的な評価基準により、不公平さの解消につながる
- 採用におけるミスマッチがなくなる
ジョブ・ディスクプリションによって職務の範囲は明確化されますので、業務上の無駄やだぶり、漏れなどは発生しにくくなり、結果として組織全体の生産性は向上します。
また、客観的な評価基準が用意されることで、人事評価に対する不満なども解消されやすいと言えるでしょう。
そして、それはそのまま採用の場面にも共通して言えることで、求める人材像が明確化されているからこそ、入社後のミスマッチが起こる可能性を大きく減らすことができます。
ジョブ・ディスクリプションのデメリット
一方で、ジョブ・ディスクリプションがもたらす弊害が指摘されることもあります。
- 担当職務以外の業務については興味・関心が生まれない
- 状況変化に応じた柔軟な対応ができないことがある
ジョブ・ディスクプリションにより職務内容が明文化されている場合、それ以外の業務をこなしても評価の対象にはなりませんので、仮に現場レベルで組織のためにはやったほうが良いと思われる仕事があったとしても、誰もその仕事に取り組もうとしないなどの問題が発生することがあります。
ジョブ・ディスクプリションの設計次第では、組織の生産性が向上するどころか、結果として悪化してしまうこともあるのです。
入社を決める前に、ジョブ・ディスクリプションをしっかり読み込もう
外資系企業に応募する際や入社を決める際には、必ず事前にジョブ・ディスクリプションをしっかりと読み込みましょう。
ジョブ・ディスクリプションを読み込むことで、期待されている役割や仕事内容などはもちろんですが、採用の背景や企業の組織体制、評価の上で重視しているポイントなどもある程度理解することができます。
そして、ジョブ・ディスクリプションのクオリティ自体も、その企業の人材管理能力を把握する上で役立ちます。
経営陣の視点から考えれば、ジョブ・ディスクプリションは社員一人一人の能力を最大限に引き出し、業績をコントロールしていく上で非常に重要なツールです。
そのため、HRM(人材管理能力)に長けた企業であればあるほど明確で分かりやすく、優れたジョブ・ディスクリプションを提示しているケースが多いですし、その逆に内容が不明瞭で分かりづらいジョブ・ディスクリプションを提示してくる企業の場合は、現場レベルでの人材管理がしっかりと機能していないと想定することができます。
ジョブ・ディスクリプションは日系企業で経験を積まれてきた方の場合あまり馴染みがないと思いますので、ぜひ外資系に強い転職エージェントも積極的に活用しながら情報収集してみましょう。
外資系企業の求人に強い転職エージェントとしては、下記が挙げられます。
外資系企業に転職をするのは初めてという方などは、ぜひ一度相談してみることをおすすめします。
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