外資系企業の給料が高い5つの理由
一般的に、外資系企業の給与水準は日系企業と比較すると高いと考えられています。実際に、国内の大手企業から外資系企業へと転職する際に年収を50万~100万円以上アップさせる方も珍しくありません。年収アップを目的として外資系企業への転職を考える方も数多くいるほどです。
しかし、なぜ多くの外資系企業は日系企業よりも高い傾向があるのでしょうか?
それには、主に下記のような理由があります。
- 日本に拠点展開できるだけのグローバル企業である
- 優秀な人材を獲得するため
- 退職金制度がない
- 福利厚生がない(少ない)
- 成果主義的な人事制度
ここでは、それぞれの理由について詳しく説明していきます。
1、日本に拠点展開できるだけのグローバル企業である
日本国内で求人を出している外資系企業は、日本に支社や支店を展開できるほどグローバル規模でビジネスの事業拡大に成功している企業だと言うことができます。
日本でも、中小企業と大手企業の給与水準を比較すると、大手企業の給与が3割近く高い傾向にありますが、海外でもこの傾向は基本的に同じです。
つまり、日本で求人を募集している外資系企業のほとんどは、本国では業界内で1、2位を争うような大企業であり、加えてそれらの企業はグローバル展開できるほど事業に成功している企業なわけですから、当然給与レンジが高い求人が多くなり「外資系企業=給与が高い」というイメージが形成されることになります。
実際、海外で現地採用をされる場合は企業規模を問わず大手から中小まで就職・転職の選択肢が広がるわけですが、例えアメリカの企業であってもグローバルに展開していないような企業の場合は、そこまで給与が高いわけではありません。
2、優秀な人材を獲得するため
外資系企業が日本で現地社員を採用する場合、当然ながら現地の優秀な人材を獲得しようとします。これは日系のグローバル企業が海外に拠点展開し、海外で現地採用をするときも同じですね。
求人の年収レンジを現地の一般的な給与水準よりも少し高めに設定することで、その国の優秀な人材をより獲得しやすくなります。
どの国の企業であれ、海外で事業展開をする際にはリスクも高く、シェアの獲得に向けて現地企業と熾烈な争いをする必要がありますので、少しでも優秀な人材を獲得し、同業界・同職種の経験者を現地の企業から引き抜くために、あえて年収レンジを高めに設定しているのです。
3、退職金制度がない
また、外資系企業の場合ほとんどのケースでは退職金制度がなく、退職金は支給されません。そもそも日系企業とは違い、外資系企業の場合は終身雇用を前提としていませんので、定年まで一つの会社で働き、定年時に多額の退職金をもらう、という仕組み自体がないのです。
そのため、外資系企業に勤める場合には、仮に毎月の給与が高かったとしても、将来に備えてしっかりと貯蓄をする方も非常に多くいます。
4、福利厚生がない(少ない)
外資系企業の場合、退職金制度だけではなく、住宅手当などの福利厚生もほとんどないケースが多くなります。基本的には給与の中で全てをやりくりするのが一般的なのです。
そのため、現在、各種手当など福利厚生が充実した日系企業に勤めている方は、単純に額面だけの年収アップを考えて外資系企業へと転職をするのは危険です。
外資系企業の場合、福利厚生も日系企業ほど充実していない代わりとして給与が高めに設定されているという事情もあるので、年収アップを目的とした転職の場合、額面のアップだけではなく福利厚生面・各種手当などもトータルに考えてどちらが本当に得なのかをしっかりと確認する必要があります。
5、成果主義的な人事制度
外資系企業の多くでは成果主義的な人事制度を取り入れており、日系大手企業に代表される「年功序列」の賃金システムは存在しません。
年功序列制度の場合は基本的に終身雇用を前提としており、20代~30代の若手時期には給与の上昇カーブを抑え、40代~50代に給与を高めに設定することで社員が途中で退職するのを防ぐといった人事システム設計となっています。
そのため、日系の大手企業の場合、20代~30代の社員は実際の会社への貢献度と比較すると給与は少ないのですが、その代わり、扶養家族が増え、様々な支出が増える40代~50代になったときは、仮に業績への貢献度が若手と比較して少ないとしても、定年までは年功序列に沿って高い給与が支払われる、という仕組みになっています。
しかし、外資系企業の場合は成果主義が基本なので、年齢や性別に関わらず、給与は成果に基づいて支払われる形となります。
そのため、20代後半~30代後半など、ビジネスマンとしてもっとも業績への貢献ができる時期に転職をする場合、必然的に日系企業よりも高い給与が提示されやすくなるのです。
その代わり、20代後半~30代後半の時期の給与が40代、50代になっても維持される保証はどこにもありませんし、退職金も出ないことがほとんどです。
そのため、生涯年収で考えたときに、日系の大手企業と外資系企業ではどちらのほうが多くの給与を貰えるかという視点で考えると、決して外資系企業のほうが恵まれているというわけではありません。
概して20代、30代の頃は外資系企業のほうが給与は高めですが、40代、50代ともなると、日系大手企業の給与の高さがより際立ってくる形となります。
また、成果主義の場合、成果が出せないと転職時よりも給与が下がることなど日常茶飯事です。そして、最悪の場合は解雇されてしまうリスクもあります。
外資系企業で働いている方の中には、そうしたリスクを踏まえると、いくら高給だったとしても割に合わないと言う方も数多くいらっしゃいます。
大事なのは、見かけの年収の高さに惑わされないこと
これらのポイントを踏まえて総合的に考えると、外資系企業の年収が高いということは事実ですが、もう少し踏み込んで考えていくと、それが必ずしも良いことかというとそうではない、ということが分かってきます。
年収アップを目的として外資系企業への転職しようと考えている方は、提示されている見かけの年収に惑わされることなく、下記のポイントをしっかりと考えることが重要です。
- 福利厚生制度の有無
- 人事評価の方法(成果重視・プロセス重視)
- 入社後の年収の上昇カーブ(想定の生涯賃金)
- 雇用リスク(解雇・撤退など)
これらのポイントをしっかりと把握した上で、それでも現在の職場よりは長期に渡って待遇が改善される見込みが高いと確信できるのであれば、転職しても大丈夫でしょう。
年収アップを目指した外資系転職は転職エージェントを活用しよう
しかし、上記のような人事制度の詳細、実際の給与の上昇カーブ、雇用リスクなどは一般に公開されている情報ではないため、一人で情報収集をしようと思ってもなかなか難しいのが現状です。
そこで活用できるのが、外資系企業の求人に強い転職エージェントです。
転職エージェントの場合、企業の採用担当者から直接ヒアリングしている内部情報はもちろん、実際にその企業で社員として働いた経験がある求職者からの口コミ情報なども蓄積されていますので、外部からは決して得られない様々な情報を提供してもらうことができます。
特に外資系企業の求人に強く、情報提供力がある転職エージェントとしては、下記が挙げられます。
ぜひ転職エージェントを上手に活用しながら情報収集を行い、入社してから後悔をしないようにしましょう。
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